今回ご紹介する時計修理事例は、フランクミュラー・カサブランカ(型番:3836)。独創的なトノー・カーベックスケースと、使い込むほどに味わいを増す文字盤が世界中のファンを魅了する、フランクミュラーを代表するモデルのひとつです。
「2852」という型番は、現行の大ぶりなモデルと比べるとやや小ぶりでクラシックな佇まいがあり、日本人の手首にも自然に馴染む絶妙なバランスが魅力。カサブランカ特有の経年変化を楽しめる文字盤は、時間の経過とともにアンティークウォッチのような風合いを増していく特殊加工が施されており、まさに「時計を育てる」愉しみを体現したモデルです。
お送りいただいたこちらの時計、拝見すると文字盤を覆うガラスが割れた状態でした。オーナー様からのご依頼は、シンプルに「ガラスを交換してほしい」というもの。一見すると簡単な修理に思えますが、ここからが一筋縄ではいかない作業となりました。
フランクミュラーのカサブランカは、あの独特なトノー(樽型)のケース形状ゆえ、汎用のガラスをそのまま使用することができません。まずは純正ガラスの入手を試みましたが、残念ながら今回は調達が叶いませんでした。既成品でも対応できるものが見当たらないとなれば、残る手段はひとつ、別作です。つまりオーダーメイドでのガラス製作です。
ケースの形状を精密に採寸し、カサブランカにぴったりと合うサファイアガラスを一から製作いたしました。サファイアガラスは傷がつきにくく透明度も高い、高級時計に用いられる素材です。完成したガラスをケースに丁寧に取り付け、がたつきや隙間がないかを入念に確認して、作業完了となりました。
お手元に戻ったカサブランカは、クリアな視界を取り戻し、ビザン数字の躍動感あるダイヤルが再びくっきりと輝いています。
これからも末永く、時を刻み続けてくれることでしょう。
このたびはご利用ありがとうございました。
【修理費用内訳】
・ガラス交換 【別作・サファイアガラス】 35,000円(税抜)
・技術料 5,000円(税抜)





