オーバーホールとは?
「オーバーホール(overhaul)」とは時計のメンテナンスや修理の一種で、「分解修理」とも呼ばれます。時計を部品単位まで分解して点検・清掃・修理・注油を行い、再び正確に動作するよう組み立て・テストを実施する一連の作業です。
どんな高級時計でも、長期間使い続けていると必ず、内部機構やパーツの消耗や故障、不具合が見られるようになります。車に定期的な車検や整備が必要なように、精密機械である腕時計にもオーバーホールという“健康診断”が欠かせません。
定期的なオーバーホールによって内部をメンテナンスすることで、部品の摩耗やサビによる故障を未然に防ぎ、長期間にわたって安定した時刻表示機能を維持できます。特に機械式時計は精密な歯車やゼンマイが複雑にかみ合って動作しているため、数年に一度のオーバーホールが推奨されています。
時間のズレが大きくなった時計でも、オーバーホールで内部を整備すれば時計の精度を回復し、新品時に近い状態を取り戻せる可能性があります。高級時計や思い入れのある一本を長く愛用するために、オーバーホールは欠かせないメンテナンスといえるでしょう。
ブランド別料金表
- ロレックス
- オメガ
- カルティエ
- タグホイヤー
- ブルガリ
- IWC
- ブライトリング
- クレドール
- グランドセイコー
- ドルチェ
- エクセリーヌ
- エクシード
- セイコー
- シチズン
- エルメス
- グッチ
- フェンディ
- シャネル
- ティファニー
- クリスチャン ディオール
- コルム
- ショパール
- ダンヒル
- ロンジン
- ラドー
- カルバンクライン
- ハミルトン
- ティソ
- ゼニス
- オリス
- チュードル
- ピアジェ
- パネライ
- ブランパン
- オーデマ ピゲ
- フランクミューラー
- ジラール ペルゴ
- ジャガー ルクルト
- ウブロ
- ウォルサム
- エベル
- ヴァンクリーフ&アーペル
- クロノスイス
- ボール ウォッチ
- ボーム&メルシエ
- モンブラン
- モーリス ラクロア
- ルイ ヴィトン
- ユリス ナルダン
- ブレゲ
- ヴァシュロン コンスタンタン
- パテック フィリップ
- ガガミラノ
- ダニエルウエリントン
- ロジェ デュブイ
- バーバリー
- エドックス
- アルマーニ
- アニエス
腕時計にオーバーホールが必要な理由は?
腕時計は精密機械であり、見た目以上に繊細な部品の集合体です。数百にも及ぶ小さな歯車やゼンマイ、軸受けなどのパーツが絶妙なバランスで動いているため、わずかな不具合が全体の動作に影響を与えます。
外観からは問題がないように見えても、内部では油の劣化や摩耗が少しずつ進行しており、そのまま放置すると大きな故障につながることがあります。こうした目に見えない変化をリセットするために、定期的なオーバーホールが必要なのです。
また、腕時計は日常的に腕につけて使うため、汗やホコリ、湿気、温度変化といった環境の影響を強く受けます。防水性のあるモデルであっても、パッキンの劣化やケースのわずかな隙間から湿気が入り込み、錆や腐食を引き起こすことがあります。
オーバーホールを行えば、こうした劣化部品を発見・交換して防水性能を確保できるため、安心して使い続けるためには欠かせません。
さらにオーバーホールを定期的に実施していれば、万一時計が故障した場合も最小限の修理や部品交換で済み、修理費用を抑えられます。逆に長期間オーバーホールをしないままだと、劣化や腐食がどんどん進み、やがては莫大な修理費用がかかってしまうというケースも。
オーバーホールは単なる「修理」ではなく、将来のトラブルを防ぎ、大切な時計を次の世代まで受け継げる状態に保つためのプロセスといえます。
オーバーホールの工程
①状態の確認
オーバーホールを行う前に、目視で時計の状態確認を行います。
ケースや鏡面の傷、リューズの出し入れや針・カレンダーの動き、ベルトの可動部分、バックルの脱着など、どんな異常があるのかを一つ一つ確認していきます。
②時計の分解
オーバーホールを行うために、腕時計を細かなパーツに分解していきます。
まずベルトを外します。この際に、ブレスレットやケース、バネ棒、ベルト留めのビスなどに付いた汚れなどを取り除きます。
次に専用の工具で裏蓋を外し、針と文字盤を外し、ケースからムーブメント(動力源、時間基準などの装置から成る時計の心臓部)を取り出して、ムーブメントを分解していく、というのが基本の流れです。
このプロセスでは非常に繊細かつ専門的な技術が必要です。時計の構造やメカニズムに応じて慎重な作業が求められます。また分解しながら、各パーツに摩耗や損傷がないかの状態チェックも行い、修理・交換が必要な部品を特定します。
③部品の洗浄
分解したパーツを、特殊な溶剤や超音波洗浄機を使用して洗浄します。部品に付着した汚れや老廃物を取り除き、部品の状態を回復させることが可能です。
なお分解した各パーツは非常に小さいため、洗浄専用のバスケットに入れてから洗浄機にセットする必要があります。
④時計の組み立て・注油
洗浄を終えた各パーツを、再び元通りに組み立てます。
基本的には時計を分解した時と逆の手順になり、分解時と同様、精密な作業や調整が必要です。この時に各パーツに摩耗や損傷がないかの状態確認も行い、必要に応じて修理・交換します。
また組み立てと並行して、適切な部位に特殊な時計用オイルを注油します。これによりムーブメント内部の摩擦が軽減され、時計の動作がスムーズになり精度が向上します。
⑤性能テスト
時計が組み立てられた後、専用のテスターを使って精度のチェック・調整を行います。
文字盤上・文字盤下・3時下・9時下・12時下の5通りの姿勢で、遅れ、進み、振り角、片振りなどのタイミングを微調整していきます。
また、腕時計用の防水試験器を使って防水テストを行います。機械式時計の内部に水が入ると故障につながるため、こうした防水試験は欠かせません。
※時計の状態によっては防水テストを行わないケースもあります。
⑥最終確認
針の進みや音、リューズの動きなど、時計の動作が正常であるのを確認した後、外観の確認や最終仕上げを行い、オーバーホールが完了となります。
時計修理工房では、すべてのオーバーホールに対して1年間の修理保証を付けております。
これは、私たちの時計修理における自信の裏付けであると共に、お客様の安心を形にしてお届けしたいとの想いから行っているものです。
注意事項
- 修理期間は、内容により異なります。多くの場合、8週間前後が目安となります。
- 修理済品がお客様に届いてより1年以内に、通常使用で内部機械に故障が発生した場合は、無料で再修理いたします。
- ご依頼いただいた時計が、コピー品、模造品であったことが判明した場合、ご連絡の上で返送させていただきます。その際は、往復送料、代引手数料をご負担いただきますのでご了承ください。
- アンティーク品や古いモデルでは、修理対応ができない場合があります。その場合はご連絡の上、ご返却いたします(対応不可の場合、返却の送料・手数料は無料です)。
部品加工や代替部品で修理できる場合はあらかじめご連絡させていただき、お客様のご了承を得てから修理を開始いたします。